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お奨めの本(1997年)

 できるだけいろいろなジャンルから、多くの人にお奨めできる本を選びました。

「犯罪に向かう脳」(アン=モア、デビッド=ジェセル、藤井留美訳、原書房)は密度が濃い本です。脳の生理学的な側面と犯罪との関連についての話を、データを交えながら論じます。ともすれば差別につながりかねない危険なテーマですが、大変興味深いテーマでした。「きれる子供」という最近の日本のトピックとも関連します。データ提示が少々不十分だと感じられたのが残念でが、これは本としてのエンターテイメント性を高めるためだと思われ、信頼に足る内容です。この分野の研究は現在急ピッチで進んでいるようです。

「コリアン世界の旅」(野村進、講談社)もよかったです。知ってそうで知らない在日朝鮮、韓国人について勉強できました。あと「在日をやめなさい」(池東旭、ザ・マサダ)や「スカートの風」(呉善花、角川文庫)もよかったですが、コリアン世界の旅が一番偏ってなくて、事実関係も羅列に終わることなく書かれていると思いました。野村進に期待して「死なない身体」(文藝春秋)も読みましたが、こちらはまあまあといったところでした。

「女盗賊プーラン」(プーラン・デヴィ、草思社)は最高にドキドキ、ハラハラさせられます。盗賊から国会議員になった女性の半生を描いています。こんな話が事実だとは本当に驚きです。プーラン女史は、落選して現在は国会議員ではありません。
 同種の本でお奨めなのがキリングフィールドからの生還(ハイン=ニョル、ロジャー=ワーナー、吉岡昌子訳、光文社)です。
 世界って広いんですねぇ。

●文学本では、高校以来久しぶりに読んでみると、くさすぎて気恥ずかしくなってきましたが、やっぱり「友情」(武者小路実篤、新潮文庫)は良かったです。将来自分に息子ができたら読ませたいものです。あと「人間失格」(太宰治、新潮文庫)を初めて読みましたが、「斜陽」より良かったです。

「病院で死ぬということ」(山崎章郎、主婦の友社)は第39回日本エッセイスト・クラブ賞受賞とはいうものの、あまり期待せずに読みましたが、すごく良かったです。人間の生死は当たり前といえば当たり前ですが、最高にドラマチックです。

 以上の5冊は読む価値があると確信しています。旅行先なんかでは本を選り好みする余裕もなく、何でもいいから旅行者同士交換したりして本を読むことが多いです。その場合、自分の趣味と違う本になることも多く、普段自分が読まない本を読む絶好の機会でもあります。みなさんも以上の5冊を興味がないジャンルでも、読んでみられてはいかがでしょうか? (971231)